近年、健康経営やウェルビーイングが重要視されています。ストレスが多い現代社会において、ストレスや困難な状況から前向きに乗り越えるための方法「セルフ・コンパッション」が注目を集めています。
今回のブログでは「セルフ・コンパッション」について、その効果や高める方法をご紹介します。
【セルフ・コンパッションとは?】
「セルフコンパッション(self-compassion)」とは、「self(自分自身)」と「compassion(思いやり、慈悲)」を合わせた言葉で、自分への慈しみや思いやりを意味します。米国テキサス大学のクリスティン・ネフ准教授によって提唱されました。他者を思いやるように自分自身のことを大切に思い、どんな状況であってもありのままの自分を肯定的に受け入れることを指します。
セルフ・コンパッションを高めることで、日常生活で直面するストレスや困難な状況にも前向きな気持ちを持ち続けることができることから、ビジネスシーンでも注目されています。
【セルフ・コンパッション 3つの特性】
セルフ・コンパッションには重要な3つの要素があります。どのようなものがあるのでしょうか?
【3つの要素】
・自分へのやさしさ(self-kindness)
・共通の人間性(common humanity)
・マインドフルネス(mindfulness)
【自分へのやさしさ(self-kindness)】
まるで親友に接するように自分自身を思いやり、ネガティブに考えたり否定したり責めたりすることなく優しく接し、ありのままの自分を受け入れることで自己肯定感を高めていきます。自分に優しくすることで前向きに課題に取り組み、状況を改善できます。
【共通の人間性(common humanity)】
失敗や困難の経験は誰にでもあることを認識し、自分一人で悲観的に考えるのではなく、「誰もが同じように苦しんでいる」「誰でも同じように悩みを抱え、困難を経験している」と共通の人間性を見出していきます。他者との共通点に気付き繋がりを感じることで、孤独感や疎外感を抱くことなく、苦しみを緩和させることができます。
【マインドフルネス(mindfulness)】
苦しみや困難などのつらい感覚を無視したり誇張したりすることなく、ありのままを見つめ、今ここにある自分の感情や体験を「ただそこにある事実」として受け入れることで、ストレスが軽減されていきます。感情に巻き込まれずに平静を保ち、客観的な視点で捉えることができます。
【セルフ・コンパッションによる効果】
セルフ・コンパッションを取り入れることは心の健康を保つことに繋がるといわれています。ここでは、セルフ・コンパッションによる効果についてご紹介します。
【心が前向きになる】
セルフ・コンパッションを取り入れることにより、困難な出来事に直面してもネガティブな感情を抑え、適切に対処し立ち向かうことができるため、心を前向きな状態に保つことができます。感情のバランスが保たれ心に余裕ができるため、他者への配慮や自己肯定感も高まるでしょう。
【心が健康になる】
自分の状況を客観的かつ肯定的に捉え、自己肯定感を高めることができるため、ストレスや困難に対してもポジティブに立ち向かうことができます。また、心に余裕が生まれ、ストレスを感じにくくなるため、心の健康を維持することができます。
【心の回復力が高まる】
セルフ・コンパッションを取り入れることで、困難や逆境に立ち向かい乗り越えるための「心の回復力(レジリエンス)」を高めることができます。困難な状況に直面しても自分自身を大切に思いやり肯定的に捉えることで、精神的な回復力を育むことができます。
【セルフ・コンパッションを高める方法】
セルフ・コンパッションを高めることでストレスや困難な状況も自分自身で立ち向かい、打開できるとされています。実際にセルフ・コンパッションを高めるためにはどのようなことを行っていったらよいのでしょうか?
【リマインドペーパー】
苦境に陥った時やどうしてもネガティブな感情が出てきた時でも、セルフ・コンパッションを思い出せるようにする方法です。自分が苦しい時に自分自身にかける優しい言葉や取るべき行動をメモし、リマインドペーパーを準備しておくことで、セルフ・コンパッションの考え方を思い出せるようにします。客観的なきっかけを持つことで冷静に自分と向き合い、適切な行動を取れるようになるでしょう。
【ジャーナリング】
一定の時間に頭に浮かんだことや自分の心の状態をあるがままに書き出して、客観的に自分を把握する方法です。自分が日々ストレスに感じていることや不安に思っていること、悩みなどを書き出します。ありのままの心の状態を文章で表すことで、自分自身が無意識に感じているネガティブな感情や気付かなかった問題を客観的に把握することができ、不安やストレスに対処できるようになります。「書く瞑想」とも呼ばれています。
【慈悲の瞑想】
慈悲の瞑想とはマインドフルネスの一種で、いつでもどこでも実践することができます。苦しい状況に陥ると人は混乱し、冷静さを失ってしまいます。まずは、リラックスした姿勢で瞑想を行い、自分の心を落ち着かせます。自分自身を癒やす優しい言葉をかけ、心に湧き起こる感情を呼び起こすことで気持ちが軽くなり、優しい気持ちになれます。自分の気持ちが落ち着くと他者に対して慈しみがもてるようになり、自分と他者へ慈しみがもてるようになると、心を落ち着かせることができます。
【スージングタッチ】
自分がストレスを感じた時に、手を胸に当てたり優しく腕を撫でるなど自身の体に触れる行動を取ることで心を落ち着かせる方法です。行動とともに、心の中で自分をいたわるような言葉をかけることでも効果があるとされます。
【まとめ】
いかがでしたか?セルフ・コンパッションを身に付け、自分自身を慈しみ大切にすることで健康で充実した日々を送ることができます。自分や他者ともより良い関係を築くことができることで、職場環境の改善も期待できるでしょう。従業員のメンタルヘルス対策の一環として取り組んでみるのもよいかもしれません。
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