近年、「静かな退職」という言葉が注目を集めています。会社に席を置きながら必要最低限の業務を行い、まるで退職したかのような精神状態で働く状態のことをいいます。
 
今回のブログでは、「静かな退職」についてその原因となる背景や影響、対処方法をご紹介します。
 
 
 

【静かな退職とは?】

「静かな退職(quiet quitting)」とは、キャリアアップや昇進など仕事へのやりがいや熱意を持たず、必要最低限の仕事をこなす働き方のことをいいます。実際に退職をしないものの、退社が決まった従業員のような余裕をもった精神状態で働くことを指します。
 
「静かな退職」は、2022年にアメリカのキャリカコーチのブライアン・クリーリー氏が自らのTikTokで配信したことをきっかけに若者の間で反響を呼び、話題となりました。
 
仕事とプライベートの境界をしっかり分け、ワークライフバランスを重視する新しい働き方として共感を呼んでいます。自分自身の時間と心身の健康を大切にすることを目的としています。

 
 
 

【静かな退職が広まっている背景】

なぜ、「静かな退職」のような働き方が広まっているのでしょうか?その背景をみていきましょう。
  

働き方に対する価値観の変化

「仕事とプライベートの両方を充実させたい」「家族や趣味の時間を大切にしたい」「ワークライフバランスを重視したい」と考える人が増えました。こうした価値観の変化により、会社のために懸命に働くという働き方に疑問を持つ人や、昇進したらただ負担が増えるだけと感じる人が増え、静かな退職を選択する人が増えていると考えられます。
 
 

【働き方の多様化】

テレワークやフリーランス、副業を認める企業も増えていることなどから、働き方の選択肢が増え、多様化していることが要因の一つと考えられます。自分のペースで働ける環境が増え、自分自身でキャリアを形成するスタイルが増えています。また、終身雇用ではなく転職が当たり前となり、会社への依存度や帰属意識が低くなっていることも静かな退職増加の原因と考えられます。
 
 

メンタルヘルスへの意識の高まり

近年、長時間労働やパワハラなどのストレスによって、うつ病などの精神疾患を発症する人が増加しています。こうした背景により、従業員は自分のメンタルヘルスを守るために、ワークライフバランスを重視するようになりました。静かな退職では基本的には残業がないため、規則正しい生活習慣や運動、睡眠が確保できることでメンタルが安定すると考えられます。このようなメンタルヘルスへの意識の高まりが、静かな退職を選択する人が増えている要因の一つとなっています。

 
 
 

【静かな退職が企業へもたらす影響】

「静かな退職」を選ぶ従業員が増えると、企業に様々な影響を及ぼします。「静かな退職」による影響には、どのようなものが考えられるのでしょうか?
 

生産性の低下

静かな退職を選択した従業員は、仕事に対する熱意や帰属意識が低いため、負担のかかる仕事へ積極的にチャレンジをしなくなり、仕事での工夫や会議での発言も少なくなります。結果として、個々の従業員の生産性が低下し、組織内でこうした人が増えることで組織全体の生産性も悪化するでしょう。
 
 

【職場環境の悪化】

必要最低限の業務にしか取り組まない従業員がいると、組織全体のモチベーションが低下する原因となります。また、静かな退職を選択する従業員の仕事量が少ないため、周りの従業員の負担が増え、不満がやストレスが溜まりやすくなります。チーム全体のモチベーションが低下し、職場の人間関係や雰囲気まで悪化する可能性があるでしょう。
 
 

人材の流出

静かな退職を選択する従業員が増えると、元々意欲のある従業員のモチベーションまでもが低下し、組織に対する不満を抱いたり、不公平感を感じさせる可能性が高まるでしょう。結果として、周囲の優秀な人材の流出にも繋がりかねません。人材が流出するようになると、職場が活気を失い、雰囲気が悪くなることでさらなる離職をもたらします。
 

 
  

【静かな退職への対処方法】

「静かな退職」は企業にとって大きな損失となります。優秀な人材を離職させないためにも、どのような対策を行っていったらよいのでしょうか?
 

多様な働き方の導入

従業員が心身の健康を保ちながら働くことができる環境を構築するためにも、従業員のワークライフバランスを考慮し、これまでの制度を見直したり、多様な働き方を実現できる雇用環境や制度を整備していくことが大切です。例えば、フレックス制度や時短勤務、リモートワークの導入、育児・介護休暇の設置、福利厚生の充実などワークライフバランスを実現しやすい環境を整え、従業員にとって魅力的な職場環境を構築しましょう。
 
 

従業員のエンゲージメントや本音の把握

従業員のエンゲージメントや本音、組織の状況を正しく把握することが大切です。定期的なエンゲージメント調査の実施により、従業員の満足度やモチベーションの変化・現状を可視化し、把握します。組織の課題や問題を早期に発見し、対処することが重要です。さらに、定期的な1on1ミーティングの実施やメンター制度の導入により従業員の話を聞くことで、より従業員の本音を引き出しやすくなるでしょう。
 
 

職場環境の見直しと改善

従業員の仕事に対するモチベーションを高めるためにも、職場環境の改善に取り組むことが大切です。従業員のストレスチェックを定期的に実施することでストレスを早めに察知し、対応します。仕事の量に偏りがないか、働きすぎていないかなど、従業員の様子を把握しましょう。また、職場環境を良くするためにも従業員同士の積極的なコミュニケーションを心がけ、サポートしていくことも大切です。
 
 

人事評価制度の見直し

従業員のやる気を引き出すためにも、外発的な動機付けとなる人事評価制度の見直しを行うことが大切です。人事評価の基準を明確にし、成果に見合った報酬を得られるよう正当に評価することが重要です。公平性が高く透明性のある制度に整えましょう。評価基準を明確に具体化することで目標達成のための行動計画が立てやすくなり、従業員が主体的に行動ができるようになるでしょう。

 
 
 

【まとめ】

いかがでしたか?「静かな退職」は企業にとって、組織全体へも大きな影響を及ぼしうる重要な問題です。「静かな退職」を選択する従業員を防止するためにも、職場環境や制度を見直し、従業員がワークライフバランスやモチベーションを保ちながら働ける環境づくりに取り組むことが大切ですね。
 
 




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