企業において、人を知識やスキルを生み出す資本であると捉える「人的資本」の考え方が注目を集めています。2023年度より上場企業を中心に「人的資本の情報開示」が義務化され、国内でも人的資本の情報開示を求める動きが活発になってきており、関心が高まっています。
今回のブログでは、人的資本とは何か、また、人的資本の情報開示の内容とはどのようなものなのかをご紹介していきます。
【人的資本とは?】
「人的資本(human capital)」とは、人材をコストとして捉えるのではなく、モノやカネのように人の持つ知識やスキルなどの能力を「資本」として捉える経済学の用語です。
「人的資本」は人を会社の資産であると考え、人に投資することで個人のスキルや能力を高めることは、結果として、生産性の向上や企業価値の向上に繋がるとされています。人的資本への投資は、より大きな価値を生み出すためのものであり、投資すべきものであると考えられるのです。
また、このような人的資本の考えのもと、ステークホルダーに情報を公開することが「人的資本の情報開示」です。具体的には、有価証券報告書に人的資本の内容を記載することが人的資本の情報開示と呼ばれています。
【人的資本の情報開示内容とは?】
ここで、人的資本の情報開示の内容について、みてみましょう。
「人的資本の情報開示」は、有価証券報告書(有報)を発行している大手企業約4,000社を対象に2023年3月期決算以降、適用されます。開示内容には、「人材育成方針」「女性管理職比率」「男性育児休暇取得率」「男女間の賃金格差」が含まれます。
内閣官房が公表した「人的資本可視化指針」では、人的資本における情報開示が望ましいとされる内容が7つの分野19項目に分けられます。
【人的資本を高めるために】
それでは、人的資本を高めるために、企業としてはどのような取り組みをしていけばよいのでしょうか?
【人的資本の考え方を広める】
企業にとって人材は資本であるという認識を広め、人的資本の考え方を経営に取り入れる必要があります。経営戦略において、人的資本をいかに活用するか、どのようなスキルを持った人材が必要で、どのように活かすことができるかという人材戦略を練ることが大切になってきます。人的資本を高めることは、企業としての成長や利益にも繋がっていきます。
【人材の活用】
資本としての人材を適材適所に配属することで、生産性が上がります。まずは、従業員個々のスキルや能力をきちんと把握し、それを活用できる人材配置に努めましょう。結果として、従業員のモチベーションも向上し、パフォーマンスを充分に発揮できることにも繋がるでしょう。
【人材育成の強化】
定期的な研修の開催やリスキリングの導入、オンライン教材の導入などにより、従業員が学び、能力やスキルの向上に役立つ機会を増やせるよう積極的に人材育成に投資しましょう。個人の知識やスキルがアップし、より効率的に業務が行えるようになるでしょう。
【まとめ】
いかがでしたか?「人的資本」の考え方を経営に取り入れることで、企業としての資本である人の知識や能力を伸ばせるよう環境を整え、積極的に人材に投資しましょう。そうすることで、従業員の満足度も上がり、企業としても生産性や利益の向上に繋げることができるでしょう。
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